SELFキックオフ合宿-明治維新150年 薩摩から再びはじまる次の時代の国づくり-

Client: NPO法人薩摩リーダーシップフォーラムSELF

Period: 2019年4月27-29日(2泊3日)

Team: 野崎恭平 with 須部貴之(KISYABAREE)

Outline

概要

明治維新150年を迎える直前であった2017年の春、大河ドラマへ向けて沸き立つ鹿児島の中で、過去を懐古するだけに留まらず「次の150年を見据えた動きをここ薩摩の地からつくりはじめよう」と、有志数名によってSELFは立ち上がりました。約2年にわたって構想を練りつつ少しずつ仲間を増やしていき、元号が令和に変わるGWの最初の3日間、新緑の美しいリバーバンク森の学校にて、鹿児島県内各地から25名が参加し、最初のキックオフ合宿を実施しました。

Vision

実現したい状態

あらゆる垣根を越えて未来を共創するプラットフォームをつくる

経済発展と技術革新の先に生み出された、VUCAと言われる複雑で先の見えない時代。気候変動を代表する地球レベルの課題と、地域社会の課題とが同時に絡み合う時代。そんな誰も「答え」を持たず、世界全体がトランスフォームを求められている時代にあり、いま求められているのは垣根を超えて社会全体が有機的につながり合い、過去からの延長線上ではない未来を共に創り出すための基盤なのではないかと考えました。鹿児島全体のエコシステムが未来を共に創造していくための、共有と対話の集合的プロセスを備えた新たなインフラづくり。その最初の一歩として、まずはコアとなるつながりを育むため、2泊3日の合宿からはじめました。

Process

プロセスデザイン

1. お互いを深く知り合うインタビューワーク

参加者同士はじめましてのメンバーも多いなか、まずはお互いを深く知り合うことからスタート。それぞれここまでどんな人生を歩んできたのか。なにを大切に、どんな願いを持って生きてきたのか。そして、いま人生のプロセスのどんなところにいるか。相手が真剣に聴いてくれることで、話しながら自分でも驚くような語りが湧いてきたりします。それぞれこの合宿に参加することになった意味を、このインタビューワークを通して気づいていきました。

2. 4名のスピーカーによるビジョンプレゼンテーション

この合宿には、あらゆる地域・業界から参加者が集いました。その中から代表して4名の方に、これまでの活動報告と現状の課題感、そして創りたい未来についてのプレゼンテーションを依頼。いまこの時代に、鹿児島という地で何が起きているのか。ふだん自分の活動にぐっと集中しているところから一歩引いて世界を眺めてみることで、新たな視点を得る機会となりました。

3. 寝食を共にすることで育まれる豊かなつながり

合宿の醍醐味は、参加者みんなで寝食を共にできること。それだけで豊かな関係性が育まれます。早朝の風呂焚きからはじまり、朝はみんなで散歩して。お昼はみんなで芝生に寝転がり、夜は美味しい食事とお酒をいただいて。焚き火を囲みながらの語りは、夜遅くまで尽きることはありませんでした。

4. この場この仲間だからこそ聴き合える悩みや痛み

この場に集ったのは、経営者や地域コミュニティのリーダーなど、いつも何かにチャレンジし続けている人ばかりでした。立場があるからこそ、誰かに話を聴いてもらう機会も少ないかもしれません。でもこの仲間だったら共感して、何か力になってくれるかもしれない。安心安全の場をつくることで、一人ひとりが等身大の自分として、いま感じている心の内を聴き合いました。

5. ビジョンクエスト-自己との対話から出現する未来

合宿の最終日は、一人の時間からはじめました。静寂の中、ここまでの場を振り返り、改めて自分の人生と向き合ってみる。私は何者か。どんな世界をつくってゆきたいのか。そして、この場からどんな未来が立ち現れようとしているか。3日間というスペースを空けたからこそ、仲間との対話を重ねてきたからこそ辿り着ける、心の奥深くの願いやビジョンがあります。

6. この場で湧いてきたビジョンを具体化する分科会

最後は湧いてきたビジョンを仲間と共有し合い、その実現に向けた最初のミーティングを分科会形式でいくつも立ち上げてゆきます。3日間で生まれたエネルギーがこの時間に凝縮されたみたく、それぞれの場ではものすごい熱量で話し合いが展開されました。この場をキックオフとして、SELFの旅は本格的にはじまりました。

Harvest

収穫

古川 理沙
株式会社そらのまち
代表

「Journey」そう表現した方がしっくりくるような3日間。

ほとんどのメンバーと初対面だったこともあり、始まる前はこの3日という時間がただただ果てしなく長く感じ、期待よりも遥かに大きい不安の中で、参加自体をとても迷ったのを覚えています。

歳を重ね、実績や肩書きが増えていく中で、知らず知らずのうちに場面や相手に合わせたいくつかの「顔」を繕う習慣のようなものが私の中に、そしてきっとこの場に参加した多くの人の中にあったのだと思います。どの「顔」を選ぶのが「正解」なのかがわからなかった。それが参加前に感じていた不安の正体だったのだと思います。

寝食を共にし、語り、笑い、時に自分自身をも深く振り返る長い長いJourneyを通じて、私が私のまま、そこにいる全員がありのままの個人として深い信頼を築くことができましたし、それでよいのだ、もしかするとそういう繋がりこそが本当の意味でのスタートなのだという感覚を共有できました。

この日に生まれたそれぞれとの関係性と安心感が波紋のように広がり、その後の大きく温かいうねりを生み出したのだと思います。

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